骨盤底筋(群)とは、その名の通り、骨盤の底辺にあるインナーマッスルです。
骨盤底筋(群)は、肛門挙筋や尿道括約筋などのいくつかの筋肉が合わさって、ハンモック状に子宮や膀胱、直腸を下から支えています。 また、排泄をつかさどる場所でもあり、尿道や肛門などの排泄口を開閉する働きもしています。
男性に比べて、女性には骨盤底筋のトラブルが起きやすく、その理由には3つあります。
上記の骨盤底筋群が脆弱(ぜいじゃく)化することによって起こる障害を骨 盤底(機能)障害といいます。 代表的な病気として、「腹圧性尿失 禁」や「骨盤臓器脱(性器脱)」があ ります。ある調査によると、女性の40代以降の11%が尿失禁や骨盤臓器脱を経験します。また産後1年以内の尿失禁発症率は30%前後にも達します。
子宮が下がってきても痛みはありません。
というようなことで気がつくことが多いようです。症状が進むと、常に臓器が腟から出ている状態となりなます。
骨盤臓器脱で多いのは子宮が下がってくる「子宮脱」と、お腹側にある腟の壁とともに膀胱が下がってくる「膀胱脱(瘤;りゅう)」ですが、両方合わせ持つ人の割合も高いようです。尿失禁などの排尿障害も起こります 。
当クリニックでは、将来の骨盤底障害を予防するため、 骨盤底筋体操(ひめトレ)の教室を開催しています。特に当クリニックにて出産された方は多数参加されています。
膀胱が勝手に縮もうとする反射を抑膀胱の蓄尿期における弛緩作用を増強して、膀胱の容量をふやします。 薬を内服することで尿の我慢が可能になり、理想量(250〜500 ml)の尿をためることができやすくなります。ただし、副作用(抗コリン剤;口内乾燥、便秘など・β3受容体作動薬;頻脈など)に注意しましょう。
径5~10センチほどのリング状になった器具「リングペッサリー」を腟に入れ、下がってくる臓器を支える方法があります。定期的な手入れが必要ですが、時々通院する程度で済みます。
生活改善や薬の服用で治る可能性があります。
当クリニックでは、トレーナー指導による教室を開催しています。産褥期はもちろんのこと、将来を見据えて骨盤臓器脱予防のため正しい骨盤底筋エクササイズの方法をマスターしてみてはいかがでしょうか。