月経時に大多数の女性は、月経痛をはじめとする何らかの症状を伴いますが、その症状が、日常生活に支障が生じるほどの状態を月経困難症といいます。
(女性労働協会:働く女性の健康に関する実態調査 2004年より)
月経困難症は,器質的異常を認めない原発性(機能性)月経困難症と器質的疾患に よって起きる続発性(器質性)月経困難症の2 つに分類されています。
子宮内膜より多量に産生されるプロスタグランジン(PG)が原因とされる。PGが過度に子宮を収縮させ,血管の攣縮や子宮筋の虚血などを引き起こすことによって月経痛が生じると推測されています。また,若年者では月経への不安や緊張などの心理的要因も大きいようです。
原発性月経困難症の対応と治療
子宮内膜症については,20歳代以降の疾患で,思春期での発症は極めて少ないとこれまで考えられてきましたが、2005年4 月に出された思春期の子宮内膜症に対する米国産婦人科学会ACOG Committee opinionによれば,思春期の子宮内膜症の頻度は予想以上に多いことが報告されています。
骨盤痛を訴えた思春期女子全例に腹腔鏡検査を行った女子の47%に子宮内膜症を認めたとのことです(Goldstein et al.).
同様の調査で,骨盤痛を訴えた思春期女子の19~73%に子宮内膜症を認めたとする多くの報告もあります。
したがって子宮内膜症は進行性であるため、早期よりの治療が大切であり、治療目標は,疼痛の抑制と,子宮内膜症の進行を抑制することです。子宮内膜症の進行を抑制して、将来の不妊症を予防することにつながるため,長期的な管理・治療が必要となります。
子宮内膜症とは子宮内膜組織に類似する組織が、子宮内腔ま たは子宮筋層以外の部位で発生・発育するものをいいます。 病巣は主にとして骨盤内です。
子宮内膜症の治療方法には、手術療法と薬物療法があります。3つの主な症状である疼痛、不妊、卵巣チョコレート嚢胞を考慮をしながら治療を進めていきます。
どんな治療法を選択するかは、本人がどのようなライフスタイルを送りたいかで異なりますので、医師とよく相談をして決めていくことになります。
特に若い女性では、今後、子宮内膜症が進行するにつれて痛みのコントロールが困難になり生活の質(QOL)が著しく損わる可能性があることや、不妊症となる可能性もあるため、低用量ピル(LEP)がお勧め
痛みに対して鎮痛剤(NSAIDS)、鎮痙剤、漢方薬など服用
上記で痛みのコントロールが不十分な場合は、レボノルゲストレル放出システム(IUS: Intrauterine System ミレーナⓇ)
子宮内レボノルゲストレル放出システム(IUS: Intrauterine System ミレーナⓇ)がお勧め
第4世代プロゲスチン(ディナゲスト)
GnRHアナログ療法
子宮内膜症が卵巣に発生すると、卵巣チョコレート嚢胞といわれる腫瘤をつくります。卵巣チョコレート嚢胞を有する女性では、卵巣癌の発生する危険性が高いことが知られており、その頻度は0.7%とされています。したがって、卵巣チョコレート嚢胞の管理に際しては、卵巣癌の合併、共存の可能性を念頭におくことが重要となります。