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更年期障害

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更年期障害とは

 更年期障害とは、卵巣機能の低下に起因した女性ホルモン(エストロゲン)の減少にくわえ、社会的,環境的要因が複雑に絡み合って、自律神経失調症状や精神神経障害症状などのさまざまな不定愁訴が、閉経前後の10年間に出現する症候群のことです。

更年期障害に対しては民間療法を含めて様々な治療法があります。

薬物療法として消退したエストロゲン(女性ホルモンの一つ)を補うホルモン補充療法(HRT)、漢方薬を用いる漢方療法、抗うつ剤などの向精神薬を服用する薬物療法があります。そのほかカウンセリング、各種心理療法、食事療法(サプリを含む)、運動療法、プラセンタ療法なども行われています。

当クリニックでは、生活指導の他、薬物療法、食事療法(サプリを含む)を主に行っています。

症状について

  • ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、発汗などの症状
  • 動悸など自律神経系の不調
  • 元気がない、意欲がわかないなどのうつ症状
  • 骨粗しょう症、骨折
  • 泌尿器生殖器の粘膜が萎縮や乾燥による萎縮性腟炎や性交痛、性交障害、尿失禁、頻尿
  • 高脂血症
  • 不眠、記憶力低下
  • 肌の乾燥や張りの低下

診断、治療に必要な検査

  • 女性ホルモン、脳下垂体系ホルモン検査
  • 貧血、肝機能検査
  • 子宮がん検診、乳がん検診

治療法

当クリニックでは現在、以下の治療法が行われています。

  • 生活環境の見直し
  • ホルモン補充療法(HRT);女性ホルモンであるエストロゲンを使用
  • 漢方薬
  • 抗うつ剤・抗不安薬
  • 食事療法(管理栄養士による個別指導)
  • サプリメント(エクオール)

生活環境の見直し

  • 十分な睡眠をとる

     寝る前にコーヒーなどカフェインの入っているものは控える。 身体が火照って寝付けない場合には、睡眠予定の2時間前までに、入浴は済ませ、氷枕の使用も一法。

  • 適度な運動

  • 楽しみながら続けれる運動をすると、血行が良くなり、更年期症状が軽減します。特にウォーキングや水中歩行、ヨガなどの低~中程度の有酸素運動が効果的です。

  • メモを取るように心がける

  • 若い頃と違って物忘れが多くなり、イライラする原因になりますので、面倒くさがらずにメモを取りましょう。

 ホルモン補充療法(HRT)

HRT は、減少したエストロゲン(卵胞ホルモン)を補充する療法です。
また、子宮を有する場合には、黄体ホルモン(プロゲステロン)を一緒に投与します。保険 適用で、自己負担も少なく、禁忌がなければ更年期障害の根本的な治療法としてまず考慮し て良い治療です。

    HRT が効く症状

  • ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり)、発汗などの血管運動系の症状の改善
  • 動悸や知覚異常など自律神経系の不調の改善
  • 閉経後骨粗しょう症の予防と改善
  • 泌尿器生殖器の粘膜が萎縮や乾燥して起こる萎縮性膣炎や性交痛、頻尿などの改善
  • 悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やし脂質異常を改善
  • 不眠症状の改善、記憶力低下の改善
  • コラーゲンを増やし肌のハリや潤いの改善

ホルモン剤の副作用が怖いのですが

HRT により各種がんリスクはどう変化するか?

HRT 施行による全悪性腫瘍の罹患率の相対危険率(RR)(RRは危険率が同じ場合は1.0になる)は、ほぼ1.0であり、腫瘍死の相対危険率(RR)は0.7-0.9 に低下することが報告されており、つまりエストロゲンはがん抑制に 働く可能性が示唆されてきました。

しかし、一方、一部の報告ではエストロゲンは発がんに関与している可能性も示唆されています。

よって、エストロゲンには、発がんに対する促進と抑制の 両面がある可能性がありますが、少なくとも過剰に心配する必要はありませんし、むしろトータル的に抑制するといっても良いでしょう 。

漢方療法

漢方療法の位置づけ

 エストロゲン欠乏に直接由来する症状、例えば、のぼせ、冷え、発汗などの血管運動神経症状には、ホルモン補充療法(HRT)が非常に効果があります。

 HRTはこの病態の原因治療となり、老年期の生活習慣病の予防にも効果が期待できます。

 また、明らかなうつ病、不安障害などの精神症状を呈した場合は、抗うつ薬、抗不安薬が適応となることもあります。

 一方、漢方薬は、精神神経症状、自律神経失調症状を中心とした多愁訴に効果が期待でき、また、安全性が高いことからも、多くの患者さんから支持を得ていることが特徴です。

更年期障害に適応する代表的な漢方製剤は、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)、加味逍遙散、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)が挙げられます。

セルフチェック;簡略更年期指数(SMI)

ボタンを押してください。合計値を表示します。

症状
1)顔がほてる 強:10 中:6 弱:3 無:0
2)汗をかきやすい 強:10 中:6 弱:3 無:0
3)腰や手足が冷えやすい 強:14 中:9 弱:5 無:0
4) 息切れ、動機がする 強:12 中:8 弱:4 無:0
5)寝つきが悪い、または眠りが浅い 強:14 中:9 弱:5 無:0
6)怒りやすく、すぐイライラする 強:12 中:8 弱:4 無:0
7)くよくよしたり、憂うつになることがある 強:7 中:5 弱:3 無:0
8)頭痛、めまい、吐き気がよくある 強:7 中:5 弱:3 無:0
9)疲れやすい 強:7 中:4 弱:2 無:0
10)肩こり、腰痛、手足の痛みがある 強:7 中:5 弱:3 無:0




合計点数:

    更年期指数の自己採点の評価法
  • 0~25点 ・・ 上手に更年期を過ごしています。これまでの生活態度を続けていいでしょう。
  • 26~50点・・・食事、運動などに注意を払い、生活様式などにも無理をしないようにしましょう。
  • 51~65点・・・ 医師の診察を受け、生活指導、カウンセリング、薬物療法を受けた方がいいでしょう。
  • 66~80点・・・ 長期間(半年以上)の計画的な治療が必要でしょう。
  • 81~100点・・ 各科の精密検査を受け、更年期障害のみである場合は、専門医での長期的な対応が必要でしょう。
(小山嵩夫; 日本医師会雑誌1993;109:259-264)
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