子宮がんには、がんができる場所によって、「子宮頚がん」と「子宮体がん」の2種類があり、原因も発祥のメカニズムも全く異なるがんです。
国内における子宮頚がんの発症者は毎年約15,000人となっており、約3,500人の方が亡くなっています。20代後半から30歳代後半における発症者がここ10年で2倍と急増しており、この世代の婦人科のがんとしては罹患率が最も高くなっています。
子宮頚がんは、その発生には、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が深く関わっており、子宮頚部の外子宮口付近に発生します。進行する場合には 正常⇒異型上皮⇒がん と経過をたどりますが、進行には数年はかかるので、定期的に検診を受ければ、がんになる前の段階で見つけることが可能です。
子宮頚がんの年齢別罹患数は、下のグラフに示しました。20歳台前半から発生し、その後の急激に増加し40~44歳でピークとなります。
一方、子宮体がんは子宮内膜に発生し、子宮内膜がんとも呼ばれます。年齢別にみた罹患率は、40歳代後半から増加して50歳代から60歳代にピークを迎えます。
腟鏡を腟内に入れて、子宮頸部や腟の内部に出血の有無やびらん(ただれ)などがないかを調べます(視診)。
子宮頸部をブラシなどで軽く擦って細胞を取ります。細胞採取は2~3分程度で終わり、痛みもほとんどありません。ただし妊娠中の人や採取箇所にびらんがある人は、軽い出血を起こすことがありますが、心配はありません。
1次検診:「高崎市健康づくり受診券」でも受けられます。
2次検診
子宮がん検診の際に、オプションで以下の性感染症の検査も追加できます。
医師が必要と判断した場合や希望によって子宮体がん検診を加えることもできます。
子宮体がん検診の場合は、子宮内に細いブラシの器具を入れて子宮内膜を軽くこすり、細胞を採取します。子宮体がんの検査はわずかな痛みと少量の出血を伴います。
細胞診検査にて異常所見が見つかった場合、コルポスコープ(腟拡大鏡)を使用して、狙い(ねらい)組織診を行います。検査後、止血のため、1-3日の通院が必要です。採取した組織を病理検査に提出します。結果は2週間後になります。
子宮体がんでは、超音波検査も有用です。経腟用の細い超音波器具を腟内に挿入して、子宮内膜の状態を調べます。この検査では子宮筋腫の有無、卵巣嚢腫、卵巣がんなども一緒に見ることができます
子宮頚がんの原因はHPV(ヒトパピローマウイルス)の持続感染です。HPVは女性の外陰部をはじめ、男性の亀頭や陰茎、陰嚢、肛門周囲(男女共通)などの皮膚や粘膜に存在しており、セックスや類似性行為(オーラルセックスほか)などを介して感染します。セックスの経験がある全女性の約50~80%以上は過去にHPVに感染した経験があると推計されますが、HPVに感染した女性の約90%は、免疫力の働きによってHPVが排除されるため、ただちにがんになるわけではありません。何らかの理由で残りの10%の人はその感染が長期化(持続感染)し、さらに持続感染者の100人に1人くらいの割合で、数年以上経ってから子宮頚がんを発症します。
HPVの検査は、子宮頚部の細胞をブラシなどで採取して、ハイリスク型HPVに感染していないかを調べます。
子宮体がんの内膜細胞診で異常細胞が見つかった場合、より正確な診断をするため、内膜を塊(組織)として採取します。麻酔を併用して行うため、痛みはありません。